素材の良さを引き立てる、丁寧なデザイン

CRYSTRON SOLAR CELL

https://ms.citizen.jp/assets/019_03-01_クリストロンソーラーセル_01

腕時計の駆動エネルギー源に太陽電池を使用した、エポックメイキングなモデルであるが、デザイン的には過度な強調や装飾も無く、丁寧にパッケージングされています。
おそらく、当時の技術ではソーラーセルを隠すことができないという制約の中、逆転の発想でこのような文字板のデザインに落とし込んだのでしょう。ソーラーセルがむき出しの大胆さが魅力となっています。文字板に対し、ベゼルは12 時- 6 時方向にアクセントを加え、ケースはバンドとのつながりやラグの落とし具合など細かなバランスを整える程度に留めることで、文字板をより魅力的に感じさせるバランスに落とし込まれてい
ます。
デザイナーは料理人に例えられることがありますが、難易度の高い食材の個性を見事に生かした好例と言えます。素材をそのまま生かしたという点で、どこか和食に近くもあります。

019_03-01_クリストロンソーラーセル_03まず先に、大胆に見せているソーラーセルに、意識が集中させられます。ケースやバンドはダイヤルを引き立てるデザインがされています。

019_03-01_クリストロンソーラーセル_04薄さと腕なじみが考慮された、すっきりとしたサイドビュー。

019_03-01_クリストロンソーラーセル_05バンドの固定位置を通常よりも上側に設定、そして仕上げを統一することで、ケースとバンドのつながりを気持ちよく感じさせています。

019_03-01_クリストロンソーラーセル_06ケース下面のラインを意図的に下げることで、装着時の腕なじみが配慮されたデザイン。

019_03-01_クリストロンソーラーセル_05_01刻印が、意図的に斜めに配置されている。

019_03-01_クリストロンソーラーセル_07世界初アナログ式太陽電池腕時計を象徴するインパクトの強いダイヤル。当時の技術ではソーラーセルを隠すことができなかったことを逆手に取り、ソーラーセルを魅せるデザインに仕上げており、普遍的な魅力があります。

019_03-01_クリストロンソーラーセル_08仕上げにより個性的なベゼル形状を際立たせ、ケースシルエットには若干のカーブラインを採用することで、全体的に単調にならないように工夫されています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

https://ms.citizen.jp/assets/099_12-07_L ムービングダイヤ_01

自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。