ベースデザインの構築

PROMASTER Radio-Controlled

https://ms.citizen.jp/assets/030_05-01_初代電波パイロット_01

このモデルは、それまでの主流であった航空計算尺を回転ベゼルに配置するデザインを踏襲することなく、回転リングをケース内に取り込み、極力外装はシンプルにまとめられています。このデザインはその後のプロマスターのパイロット電波時計のベースとなって、長く継承されることとなりました。
電波時計の受信機能表示を秒針の「尾」の部分にて表示する手法も、エコ・ドライブの文字板において2 枚の文字板を貼り合わせて見切りの大きい文字板デザインを試みたのも、この商品が初めてでした。今では当たり前のように設定している設計手法もこのモデルの存在があればこそです。
計算尺・切分など要素が多く煩雑になりやすい文字板も、12 時と6 時位置に配置されたアラビア数字の時字により時刻が分かりやすいデザインにまとめあげています。
無駄の無い、そぎ落とされた機能美を表現したケースデザイン。視認性・精密感を巧みに表現した文字板デザイン。それらをMRK 処理を施したチタニウム外装と、エコ・ドライブ機能と電波時計の機能を合わせることで、軽く、傷つきにくく、止まらず、狂わない、という実用性の部分でユーザーに寄り添っています。
技術をデザインの力で見事に昇華させた1 本であり、シチズンのデザインに与えた影響は実に大きいと言えます。

030_05-01_初代電波パイロット_02各パーツにエッジを効かせ、すっきりとした印象にまとめながら、ラグと先カン部分のエッジの稜線を合わせる等、細部にわたり配慮された完成度の高いデザイン。

文字板部分も計器を想起させる精密感あふれるデザイン。

030_05-01_初代電波パイロット_03ケース、バンドにデュラテクトMRKを施したチタニウムを採用していて、傷つきにくく質実剛健なプロマスターらしいデザインに仕上がっています。

030_05-01_初代電波パイロット_04ケース側面部は逆テーパー形状になっていて、この商品を特徴づけるのに一役を担っています。小気味良くすっきりとした面構成。

030_05-01_初代電波パイロット_05ラグの側面部分には“ふた”形状の別体パーツ。特に機能的な意味は無いながら丈夫で堅牢そうなイメージを演出しています。

030_05-01_初代電波パイロット_06エッジの効いたすっきりとした形状の裏ぶた。地球マークを中心にブランドロゴなどが配置されています。過飾の無い信頼感のあるデザイン。

030_05-01_初代電波パイロット_07中駒に2 本線鏡面仕上げパーツを配置した、クセの無いすっきりとした印象のバンドデザインですが、駒の断面は飛行機の“翼”の断面をイメージさせる形状になっています。

030_05-01_初代電波パイロット_09航空計算尺を配置したパイロットウオッチらしい精密感のある文字板デザイン。12 ヶ所の時字に夜光を配置し、暗所での視認性への配慮もしっかりなされています。2 枚の文字板を貼り合わせるために、不透明印刷部分を上板部分に設ける必要がある。不透明印刷部分内径を切分外径付近に設定することで、その色調の変化が気にならないように配慮された文字板デザインも、この商品のポイントです。

厚く塗られていて発光時の輝度も高い夜光塗料。12時と6時の時字がアラビア数字であることから時刻が判別しやすくなっています。

非常に受け入れやすいデザイン。

秒針の“尾”の部分で電波時計の受信機能を表示するために考案されたレイアウト。小気味良く、文字板レイアウトになじむようにまとめられています。

030_05-01_初代電波パイロット_08操作しやすい径の大きな綾目ローレットりゅうず。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

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最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。