アフォーダンスデザイン

PROMASTER CHRONO RACING

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 シチズンのクロノグラフ付き腕時計の標準レイアウトと言えるムーブメント、Cal.3510を搭載した本モデル。
 Cal.3510を搭載したモデルはデザイナーの手により、いろいろな方向性に味付けをされ市場に投入されましたが、中でも本モデルはクロノグラフの基本操作を一見してユーザーによりわかりやすく表現した、高度なデザインのものと言えます。
 腕に装着しクロノグラフの機能を使用するときにユーザーにストレスを与えないプッシュボタンの配置と針の位置。クロノグラフの複雑な操作性をひと目で理解し、本能的かつ無意識的な動作を促すため、プッシュボタンにそれぞれ特徴のある形状や大きさが与えられています。ケースの色調の配色やアシンメトリーのスタイリングなど、すべてにおいて今までにないデザインとなっています。
 こうした特徴的な形状や、外周リングに取り入れられた機械部品形状、左右非対称のケースに見られる4 所のビスなどが“クロノグラフ”=“精密な機械”という印象を連想させるディテールとなってモデルを仕上げていると言えるのではないでしょうか。

065_08-03_プロマスター ヨーロッパ_02操作性を最大限に考えられたモデル。多数あるボタンにそれぞれ個性を与えながら操作へいざなうアフォーダンスデザイン。

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065_08-03_プロマスター ヨーロッパ_05バンドの切り欠きはボタンを操作する指が邪魔にならないような形状。

065_08-03_プロマスター ヨーロッパ_06クロノグラフの文字板としてはシンプルですが、針の動きが目立つ部分を見やすく強調した意匠⇒ユーザーの目の動きを誘導する配慮。外周リングは機械部品形状を取り入れクロノグラフの精密さを演出。

065_08-03_プロマスター ヨーロッパ_09全てのプッシュボタンの指に触れる部分は全て柔らかな面にしてユーザーにストレスを与えないように配慮されています。

065_08-03_プロマスター ヨーロッパ_07左右非対称ケースのグレーカラー、ホーニングとシルバーミラーのコントラスト、4 所ビスがメカメカしくスポーティーさを演出。

065_08-03_プロマスター ヨーロッパ_08ケース4所のビス

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。