歴史的知性と品性

COSMOSIGN

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 星の光は、はるか昔に放たれた光です。たとえば有名なオリオン座のペテルギウスからは、約496 ~788 年も昔の光が、今届いているのです。
 かつて時計とは、有識者こそが扱う価値のある実用品でもあり、持っているだけで価値のある品でもありました。この時計はまさにそうした時計の価値を再認識させられるモデルのひとつであると考えます。シュメールの時代から重ねられてきた壮大な歴史を、時計の盤面は物語り、知らない人すらこの時計に目を見張らせます。
 アナログ時計は盤面から過去と未来を直感的に感じさせてくれますが、この時計は精密な星座早見盤により、星の見えない昼間の時間の星座さえ示してくれます。そしてユーザーにこの時計を持つ意味とロマンを与えてくれます。
 星座早見盤を損なわない、細く薄く見せるドレスウオッチ調なデザインは、控えめに見えるようで実は主張がはっきりしています。古代建造物のような段つきのベゼル。ベゼルに食い込んだ華奢な猫足。大きなアールで刈り上げた裏面。星座早見盤を最大限に見せる細い針。それぞれが装飾的であるかのようで、金色に統一することで威厳のある統一感と、歴史的なドレスウオッチの仕立てとなっています。いうなれば、歴史を纏うドレスウォッチです。

068_09-01_コスモサイン_02ケースは全てミラー仕上げで、まるでなるべく存在を消しているかの様。足もなるべく細く見えるように、2 段になっている。

068_09-01_コスモサイン_03全面ミラー仕上げなこともあり、平置きしたときに足より下側が見えないので、実物よりかなり薄く見える。

068_09-01_コスモサイン_04星座を結ぶ線は、実は決まっていません。また12 星座のイラストは早見盤からずれていますが、見栄えを優先されたそうです。

068_09-01_コスモサイン_05統一された斜体フォントは金色で、エレガンスさをより際立たせています。

068_09-01_コスモサイン_064.5 ~ 1等級まで、丸点のサイズで表現されています。赤色、橙色、黄色の巨星はいくつか色分けされています。

068_09-01_コスモサイン_07特徴的な3 段のベゼルは、上2 段が角アール、一番下の段が角です。これにより強調されるのは一番下の角面で、上2 段の輪郭をぼかすので、より細縁に見えます。プレスで出されたラグの稜線の段差はミラー仕上げのおかげもあり、より滑らかで細く見えます。またベゼルより付け根の高さがあがっているため、より薄く見えます。裏を大きく刈り上げているので、平置きしたときにラグより下側が見えず、薄く見えます。薄く、細く、滑らかでエレガントに仕立てあがっています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。