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新しい価値の探求
シチズンの基幹技術である光発電エコ・ドライブの価値を訴求するため、2009年から2012年にかけて合わせて8つのコンセプトモデルを発表しました。モデルは社内コンペティションによって選ばれました。ルールは「光で動く」ことだけ。それ以外には何も制約を設けず、デザイナーがまっさらなところから自由な発想で新しい商品を提案しました。 スイスで開催されていた世界最大の時計の見本市「BASELWORLD」にて大々的に発表が行われ、大きな反響を呼びました。また、コンセプトモデルを発表して終わりではなく、できる限りそのままのデザインで量産化することにも挑戦しています。発表したモデルのうち4モデルが数量限定で量産することとなり、その技術やデザインコードは後のモデルにも大きな影響を与えました。
儚さの連続
本モデルは儚い要素の集合で構成されたモデルだと感じました。ドーム状に大きく膨らんだサファイアガラス、それに沿って緩やかに曲がった針、グレイッシュな印刷物、美しい平滑面を出し輝きながらも、実は脆さと隣り合わせのセラミック素材など、プロダクトとしての美しさを持ちながらも、どこか弱さや儚さを感じさせる時計です。宙に浮いたメガネパーツはこちらを見つめているようで、生物的な印象を受けます。 視覚だけではなく、触覚のデザインもそのコンセプトを強めています。シリコンバンド(リキッドラバーバンド)は柔らかく、とても心地良い触り心地です。華美な装飾のない、シンプルな面のこのバンドは、クリーンな印象で文字板とマッチしています。 立体的な文字板が演出する“光と影”がこのモデルの一つのキーワードですが、その光と影もその時々で変化し続ける儚いものです。その時しか見ることのできない一瞬一瞬の儚さ、その連続がこのモデルそのものだとも言えます。