構造消化形デザイン

PROMASTER PROFESSIONAL DIVER 1000m

https://ms.citizen.jp/assets/011_01-11_1000 m ダイバー_01

このダイバーズウオッチは、まず1,000mという深度に耐えられ、かつ、その過酷な環境において確実に機能が果たせるよう設計されたコアに、いかにして魅力あるデザインを与えるのかという難題に挑んだモデルと言えます。すなわち、高深度に耐えられるよう、ただでさえ肉厚にならざるを得ないケースにベゼルの誤動作防止機能を加えたことによる「重箱構造、形状」をデザインの力でいかにまとめあげるか、が大きな課題でし
た。
側面から見た様子は、目付けとミラーを使うことにより、全体に視点が集中しないよう工夫され、さらに黒い部品を挟み込むことにより、分厚い塊があるようには見えません。また、ベゼル外周部を下面に広がった斜面とし、下面を逆斜面とすることにより、無骨な金属の塊に見せず、まるでサザエやイソギンチャクのような、有機生物感を与えるに至っています。ダイバーズウオッチに海洋生物風の外見を与えた、デザインが機能と融合した好例と言えます。

011_01-11_1000 m ダイバー_02011_01-11_1000 m ダイバー_03ベゼル外にあるリングを回転させることによりロック機構が働きベゼルの誤回転が防止されます。また、ロックが解除されている場合は部品下からオレンジ色が見え、機構の使用忘れを目視で確認できます。

011_01-11_1000 m ダイバー_06それぞれの部品が機能ごとに層になっており、グローブ等をしていても扱いやすい形状&構成となっています。011_01-11_1000 m ダイバー_09部品が重なり肉厚な時計になっていますが、部品それぞれに斜面を付け、余計な引っ掛けや破損を防止しています。硬い形状の中に、斜面やアール面が入っており、海洋生物感があります。

011_01-11_1000 m ダイバー_04表面全体に微妙に大きくアールが付けられており、高級感のある裏ぶたの中心にコイニング加工によるマークが配置され、プロユース感が漂います。

011_01-11_1000 m ダイバー_05文字板は成型による凹凸やパターンを用いてケース等に負けないディテールを作り上げています。

011_01-11_1000 m ダイバー_07マークの周りには黒樹脂が入れられ、マークと同一面になるよう磨かれています。

011_01-11_1000 m ダイバー_08りゅうず根本には樹脂が入れられておりケースに正しくねじ込まれていないと樹脂色が見えます。ベゼルのロック部と同様に生命に係わる部品の状態管理を怠らない仕様となっています。

011_01-11_1000 m ダイバー_10ケースに負けないハードで量感のあるチタン製尾錠。

011_01-11_1000 m ダイバー_11充電レベルをドット印刷によるグラデーションで表現しています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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自然の生命

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最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。