デザイン部のオフィスへ


新入社員研修を終え、ついにデザイン部へと配属されました!7階にあるオフィスへ行くと、すでに私の席が用意されており、いよいよここで働くのだという実感が湧いてきました。オフィスは広々としていて、大きな窓からは西東京市を見渡すことができ、とても居心地の良い空間だという印象でした。隣にはクリエイティブスペースと呼ばれるオープンな空間があります。歴代の腕時計が飾られていたり、時計やデザインに関する資料を自由に見ることができたり、ワクワクするものが沢山あります。
シチズンのサブブランドを知る
研修はOJT担当の先輩デザイナーと一緒に行い、約1カ月にわたり時計の構造や製造方法、デザイン業務に必要なスキルや考え方を学びました。
まず、現在シチズンがどのような時計を作っているのかを教わりました。シチズンが持つ各ブランドを手掛けているデザイナーの方々から、コンセプトやターゲットなどを詳しく説明していただきました。説明の中では腕時計のサンプルを手に取る場面もあり、腕時計の繊細なつくりやモデルごとに異なる装着感を試しながら各ブランドの特徴を学びました。デザイナーの手によって、それぞれのブランドが確立された世界観を持ち続けているのだと感じました。
デザインソースを探る
次に、手描きのスケッチによる腕時計の観察と、それに基づくデザイン要素の抽出を行いました。これはシチズンのデザイン部で伝統的に行われているリサーチ手法の一つです。一つの腕時計をよく見ながら、ノギスでパーツごとに長さを測りスケッチをしていきます。また、スケッチを通して自分が感じた印象を書き込み、腕時計の形状とその形状が与えるイメージをリンクさせて、自分の中で咀嚼していきます。細かく見ていくことにより、技術が詰め込まれた精巧さや、デザインによって人に与える印象など、腕時計というプロダクトの奥深さを身をもって感じることができました。
ミクロン単位の表現に挑戦
次の段階では手描きスケッチをしたものと同じモデルを、Illustratorというイラストや図を描くソフトによってデジタルでスケッチを行いました。図面の情報を引き出し、ミクロン単位で書かれている断面図を確認して構造を理解しながら線画を描いていきます。構造的に成り立つことを意識しながら作業する必要があるため、とても気を使う工程でした。断面図を描いて構造を理解したら、いざ腕時計の正面図と側面図を描きます。 Illustrator内で金属の質感や立体感を加えながら、魅力的に見える方法を探っていきました。苦労した分、スケッチが完成したときには達成感がありました。
3次元で形状を確認する
デジタルスケッチをしたモデルを、今度は3Dソフトでモデリングを行いました。同じようにまずは腕時計の断面図を作成してから立体に起こしていきます。2Dでは表現しきれない角度や丸みを精巧に作りながら各パーツを作成しました。自分がスケッチしたモデルが徐々に立体になっていき腕時計らしい形が見えると、作りたかった形がよりイメージしやすくなるという3Dソフトの役割を理解することができました。最後に、各パーツのデータを組み合わせて3Dモデルの完成です。
製造の現場を体験する
デザイン部での研修を終えた後、長野県飯田市にある時計の組み立て工場で実習を行いました。そこでは機械による組み立てラインや、人が腕時計をひとつひとつ組み立てている様子を見学しました。キズや汚れを付けないよう注意を払いながら、正確に素早く組み立てている皆さんの姿がとても印象的でした。新入社員の私も実際のラインに入らせていただき、腕時計のプッシュボタンを取り付ける作業を行いました。触ったものが実際に商品としてお客様の手に届くことを考えると、とても身が引き締まります。少し緊張しましたが、自分がデザインするものがどのように組み立てられているのかを学ぶことができる貴重な機会でした。
技術や思いが詰め込まれた「腕時計」というプロダクト
腕時計とはどのようなものであり、それをどのようにデザインしていくのかを基礎から学びました。腕時計は、腕につけられるほどのサイズの中に、多くの技術や思いが込められたユニークなプロダクトであると感じています。そのようなプロダクトにデザインで関われることはとても楽しみです。これからさらに腕時計について学び、魅力的な製品を生み出していきたいと思います。