Ayaka Ohtake

DESIGNER

https://ms.citizen.jp/assets/ayaka-ohtake
名前
大嶽 彩加
専門
プロダクトデザイン
地域
日本
経歴
ものづくりが好きで美大に進学後、シチズン時計に入社。国内のレディースウォッチや、wicca、北米向けの時計デザインなどを担当。スマートウォッチアプリのUIデザインや、エキシビションデザインにも携わる。
好きな本
モモ、吉田篤弘さんの本
https://ms.citizen.jp/assets/KINDER TIME-1

子どもから大人まで長く使える時計

子どもの時に使っていたものが、大人になっても使いたいと思えるものだといいなと思います。毎日の生活にそっと馴染み、使うほどに愛着が沸き、身に着けると気持ちが凛とする、子どもから大人まで幅広い世代に向けた時計をつくりたいという想いから、このモデルのデザインが始まりました。

https://ms.citizen.jp/assets/AXIS増刊号_CITIZEN_最終版

源流を探り、未来に生かす

創業100周年を機に、シチズンのデザイナーが自ら「シチズンデザインらしさ」を探求するため、過去のモデルに学び、そこから得た気づきを集約して「デザインソース」として言語化を行った。社外アドバイザーによる客観的分析を経ながら、約5年にわたって進められたプロジェクトを紹介する。

https://ms.citizen.jp/assets/015_02-04_ボイスレコーダー_01

未来から来たような形

このモデルを表現するには、「未来感」という言葉が一番しっくりくるように思います。一見すると宇宙船のコックピットのようにも感じられる特徴的な造形は、1984 年、今から40年以上も前にデザインされました。過去の時計なのに「未来感」を感じさせる、様々な機能・要素が集まっているにも関わらずまとまりがある、造形が個性的なのにシンプルに感じる、不思議な要素が詰まった時計です。 シンプルさを感じるのは、エッジが立っていて、造形が大胆でシャープだからかもしれません。揺るぎのない潔いラインや、パキパキと移り変わる面の心地良さが、各要素の複雑さを一つにまとめて、一体感を生み出しています。 またシャープな中に「親しみ」や「可愛らしさ」を感じるのもこのモデルの魅力。直線的なラインの中に現れる、大きなアールの付いた丸みのある見切りやスピーカー部分、CITIZENロゴやRECの文字だけに施された金や赤のカラーリング、全体的にモノクロでまとめた中で少しだけ外した要素が、愛らしさを生み出しています。 「6 秒間の録音・再生が出来る」という当時としては画期的だった機能を、VOICE とTIMEという2つの顔で明確に分けることによって時計に上手くレイアウトし、機能性がデザインのインパクトとなったこの時計は、現代でも通用する未来的な造形と、唯一無二の愛らしいディテールを持っています。

https://ms.citizen.jp/assets/041_05-12_海外三つ目_01

無骨なエレガンス

無骨さの中にエレガントさを兼ね備えた、実用のための時計。ゆるぎないラインで構成された、余計な斜面など一切無いエッジの立った潔いケース・バンド形状や、ほぼ全てがヘアライン仕上げの無垢な質感から無骨さが見てとれます。 一方で、ケースの大部分を占める球面ガラスが無骨さの中に柔らかさを与え、ヘアライン仕上げの中に時折見えるミラーのキラッとした質感が、エレガントな色気を与えています。ほとんどがヘアライン仕上げですが冷たい印象ではなく、きめが細かく肌触りの良い質感と、チタニウムの持つ温かみのあるグレーの色合いも、上品でエレガント。 文字板では、大胆な大きさのアラビア数字と極太のバーインデックスが、堂々とした風格を漂わせています。一方サブダイヤルは緻密で細やかですが、見やすく、必要な所に夜光が入っていて、使う人のことを考えられています。針やインデックスは白、文字板は黒と、コントラストが高く、はっきり見やすい実用のためのデザインです。 タフでありながら大人のスーツ姿にも似合う、エレガントなプロマスターと言えます。

https://ms.citizen.jp/assets/044_06-02_チャレンジタイマー_01

大胆でいて緻密

大胆さと緻密さが丁度良いバランスで共存しているのが、このモデルの魅力です。 たっぷりしたボリューム感のある面と、ケースサイドを滑らかに繋ぐダイナミックな斜面が特徴的なケースは、無駄がない形状が潔く、スタイリッシュな流線型が未来的な雰囲気を感じさせます。大きく飛び出したプッシュボタンは、ストップウオッチ付きというこのモデルの最大の機能を、アイコニックに表現しています。 ケースのダイナミックさとは対照的に、文字板は粗密のあるつくり込みがされています。太く存在感のある時字と、細い緻密な切分の対比が心地良く、特徴的な窓枠は3 面に分かれた面構成が大胆な一方、角が面取りされていたり、内斜面のみが黒色になっていたり、細部にまでこだわりが詰まったつくり込みがされています。サブダイヤルの中のグリーンやイエローの差し色は彩度が高すぎず、限りなく黒に近いダークグレーの文字板の中でアクセントとなっています。 余白をたっぷりと取り、細かい所はとことん細かく、粗密バランスの考えられたこの時計は、曲線と直線が調和し、未来感を漂わせる、大人をワクワクさせるデザインです。

https://ms.citizen.jp/assets/086_11-09_キンダータイム_01

素直に時を読める

 キンダータイムは「子どもは時刻を読むのに苦労している」という問題を、時の表示方法を分かりやすくすることで解決した、子どもに寄り添う時計です。  時を時間帯で示したこと、時針、分針とその示す所を色で分けたこと、この2つが「素直に時を読める」最大の配慮です。また、秒針が切分にしっかり届いている所も、時を読みやすくする気づかいが感じられます。  ビビッドで元気のよい赤と黄の色合いや、文字板に入ったエンブレムのようなシチズンロゴ、ピカピカのランドセルを思わせる真っ赤な革バンドなど、どこまでもワクワクするデザインです。  そんな子ども心をくすぐる時計ですが、子ども用らしからぬ一面も持ち合わせています。時を読みやすくするために、子ども用にしては少し大きめのケースサイズになっています。シャープでエッジの立った面形状は、子ども向けにしてはやや鋭い印象を受けますが、無駄のない潔さが文字板の可愛らしさを上手く引き締めています。シンプルな中にチャーミングさのある読みやすいアラビア数字は、大人にとっても魅力的です。  とことん子どもに寄り添いながらも、子ども用だからと手を抜くことのなかったデザインの力を感じます。