100年分の情熱

「シチズン」ブランド100周年記念イベント「THE ESSENCE OF TIME」

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2024.09.29

2024年6月、東京都千代田区の九段ハウスにおいて、「シチズン」ブランド100周年記念イベント「THE ESSENCE OF TIME」を開催しました。「CITIZEN」を冠した最初の懐中時計をつくり上げてから100周年となるこの節目に、これまでの100年をこれからの100年につなげるべく、各部署から集められたプロジェクトメンバーによって企画が進められ、特にコンセプト立案・展示構成・コンテンツ制作などクリエイションに関わる分野についてはデザイナーがその中心的な役割を果たしました。

THE ESSENCE OF TIME|「CITIZEN」ブランド時計100周年記念イベント

展示構成のプロセスを紹介します。

コンセプト立案

模造紙 (1)コンセプト立案では、それぞれのデザイナーが持ち寄ったイメージを元にディスカッションを行いキーワードを導き出していきました。その中で「シチズンのものづくりの情熱を伝えていくこと」、「さまざまな挑戦が過去から現在へとつながり、そして未来の可能性を示していること」、「創意工夫の足跡を発掘し、標本のように展示していくこと」など展示の土台となる部分が形づくられました。

発掘

Image054資料室 (1)東京事業所内に存在するシチズンミュージアムにはさまざまな資料やモノが展示されていて、そのバックヤードとなる「史料室」にはさらに多数のアーカイブ資料が保管されています。日々社内外からさまざまな歴史的資料が集まってくるその場所はまさに宝の山のような存在です。そんな大量の資料のなかから、先人たちの情熱と創意工夫が垣間見れるものを丹念に発掘していきました。また、現役のエンジニアが活躍する開発の現場にも足を運び、展示のコンセプトを体現するものを探し出していきました。

展示構成

Image052そして発掘したモノや資料をどう配置して展示するか、どのようなキャプションをつけるかなど、それらをわかりやすく伝えるためのレイアウトを検討しました。メンバーでアイデアを持ち寄り、最適な方法の検討を重ねました。

Image051展示のベースとなったのは、シチズンらしさを探る社内プロジェクトのなかから選出された100本のモデルです。それらを同プロジェクトで導き出された12のカテゴリーに沿って構成しました。100本それぞれの展示ボードには、デザインとエンジニアの両方の側面から考察したテキストをレイアウトしています。テキストは現役のデザイナーやエンジニア(一部のモデルはマーケター)が現代から見た視点で書き起こしました。

Image050 (1)また先人たちが重ねてきたものづくりの創意工夫がわかるように、デザイナーの観察スケッチや気づきとともに、実際の開発で使用された当時の機材や資料、開発サンプルなどを交えて展示しました。

準備

Image049社屋の屋上にて展示ボードの塗装をしている様子です。限られた予算のなかでもクオリティを高めるべく、展示什器の一部はデザイナー自らが手を動かしDIYで制作しています。

Image048 (5)Image047デザイン部のオフィスで展示のシミュレーションを実施。何をするにも×100という圧倒的な物量との闘いでした。

Image043 (1)デザインオフィス内での展示の模索。

九段ハウス

Image046 (1)会場となった九段ハウスは東京都千代田区に現存する築100年近くになる建築です。シチズンと同じような時の積み重なりを持つこの空間は、いくつか会場候補を探して下見に行ったその日のうちに、その場に居合わせた全員がここしかないと確信するほど今回の展示にシンクロする空間でした。

Image045 (1)Image044九段ハウスでの詳細の打ち合わせ。

設営

Image042Image041Image040メンバー総出の展示準備。ここでも何をするにも×100という物量との闘いとなりオープニング直前まで作業はつづきました。その分、100年分の想いと熱量が十分につめこまれた高密度な展示になったのではと思います。

展示風景

展示風景の一部をご紹介します。Image039 (1)Image055 (15)Image055 (17)Image038 (1)展示のスタートに位置する、100本のモデルの進化のつながりを可視化した系統図。図の両端にはCITIZENを冠した最初の懐中時計と最新の機械式時計を搭載する懐中時計が配置され、シチズンの原点と新しいはじまりを象徴しています。私たちのチャレンジが技術とデザインそれぞれの観点から、過去から現在そして未来へとつながっていくさまを体現したダイアグラムです。

Image037 (1)Image055 (18)シチズンのものづくりの風景を映し出す映像作品。人と機械の協調により時計が生み出されるシチズンの技能の側面を表現しています。シチズンデザインのフィロソフィーである「感情のデザイン」の映像を制作したHIROBAが手がけました。動画はこちらからご覧いただけます。

Making Time(別ページを開く)Tuning Time(別ページを開く)

Image035 (1)Image034 (1)時計づくりの現場で使用されてきた道具や機械。

Image033 (1)Image032 (1)Image031 (1)地下の展示空間。シチズンらしさを表す12のカテゴリーごとに地下1階から地上3階までのスペースをゾーニングして100本のモデルを展示しました。

Image030 (1)Image029 (1)Image028 (1)一人の開発者の情熱から生まれた天体時計、コスモサイン

Image027 (1)Image026 (1)電波受信のアンテナを大胆に文字板中央に配したシチズンの電波時計の原点となるモデル。技術制約が逆にデザインアイコンとなったモデルです。

Image025 (1)Image024 (1)はじめてCITIZENを冠した懐中時計

Image023 (1)Image022 (1)時刻がわかりやすいように工夫された子供向け時計、キンダータイム

Image021 (1)Image020 (1)世界初の技術にふさわしいインパクトを持つ衛星電波時計、サテライトウエーブ

Image019 (2)2階和室の展示の様子。

Image018 (1)Image017 (1)あえて曇りガラスを使用してゆるやかな時を感じさせるCITIZEN L

Image016 (1)Image015 (1)サファイアガラスに大胆なカットを施したエクシード・マニフィーク

Image014 (1)史料室に眠っていた実験映像のフィルム。

Image013 (1)100モデルそれぞれにデザインと技術、両視点から考察したテキストをカード化したもの。気に入ったモデルのカードを来場者の方に持ち帰っていただきました。

デザインスタディモデル

Image012 (1)別棟のガレージでは、私たちのデザインフィロソフィーである「感情のデザイン」の紹介と、シチズンの未来の一部を垣間見せるようなデザインスタディモデルの展示を実施しました。

こちらはその記録映像になります。

DESIGN STUDY EXHIBITION|「CITIZEN」ブランド時計100周年記念イベント

 

Image010 (4)デザインフィロソフィー「感情のデザイン」の紹介。

Image010 (7)Image010 (6)Image010 (5)7本のスタディモデルはそれぞれのコンセプトを体現するものやインスピレーションの素になったものなど、その世界観を表すものとともに展示をしました。これらのモデルについては、後日プロダクトストーリーの記事にてご紹介します。※AKIRAの単行本とバイクの模型についてはデザインイメージの参考であり、コラボモデルを示唆するものではありません。

 

会場の音楽は感情のデザイン映像でも楽曲を提供いただいた、haruka nakamura氏の音楽を使用させていただきました。シチズンの100年受け継がれてきたひたむきな情熱と九段ハウスが積み重ねてきた時間とともに、その音楽性が重なりあうことで、今ここだけにしかない特別な場所が生まれていたように思います。同氏のYoutubeチャンネルにてシチズンの楽曲がまとめられたプレイリストが公開されていますので、ぜひご視聴ください。

CITIZEN × haruka nakamura(Youtubeプレイリストを開く)

Image055 (19)Image055 (13)シチズンの最初の懐中時計を原点として、これまでの100年の足跡を巡り、ものづくりへの情熱を発見し、これからの未来へと想いを馳せる。そんなシチズンのはじまりと新しいはじまりを象徴する展示空間になりました。それはまたシチズンブランドの信念BETTER STARTS NOWを体現するものでもあります。今回の展示は主にプレス関係者向けの招待制のイベントだったため、その一端をこの記事から感じていただければと思います。

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展示クレジット
構成: CITIZEN
映像: HIROBA
音楽: haruka nakamura