いとおしさ

Design Competition 2023 | Hand to hand

https://ms.citizen.jp/assets/1-最初のページ

腕時計は自分らしさを反映でき、使う人の雰囲気を伝えるものだと考えています。職業柄なのか、人に会うと、着けていた腕時計が記憶に残ります。それが表情の一部のように感じられますし、良く馴染んでいると、時計が大事にされているようでとても嬉しく感じます。
数ある腕時計の中から縁あって選ばれるものなのですから、あたりまえのことですが、私は腕時計を長く大切に使ってほしいと思います。そこで、いとおしさや優しさを感じるようなデザインで、修復してでも大切に使っていきたいという想いが湧くような、“磨きなおし”ができる時計を考えてみました。

undefined

磨きなおしを手軽にできるようにするため、「素材は無垢(メッキのないもの)」「分解しやすい構造で、研磨しやすい形」という点を踏まえてデザインを検討していきました。早い段階で、ステンレスの無垢材で磨きが入りやすく足が外れる形状に方向がきまりました。足を取りはずせばまんまるな形状になり、バフ磨きを完璧に行えます。素朴な温もりのあるコロンとした形になりました。

undefined

ケースとバンドがつながる先カン部分には工芸品のような印象を持たせています。シチズンの最初のレディスウオッチであるK型(図右)のパリスカンのような形状を意識しました。先カンパーツの柔らかいR形状により、繊細な印象となっています。

undefined

文字板は、丁寧さを感じるように。そして、力みのない間を意識しました。白蝶貝にはエッチングで華美になりすぎない装飾を施しています。4所インデックスは柔らかく磨きあげたつぼみのようなフォルムです。8所の丸点植字も裏側までまわりこむR形状によりぷっくりと雫のような立体感を出しています。

undefined

リューズは、モダンなオニキスの質感とクラシカルな爪留めで、装飾的でエレガントなものにしたいと思いました。幸福感を感じられるようなゆったりした形です。

undefined

裏蓋は、腕に気持ち良く触れる形です。ガラスから裏蓋まで撫でてみたくなるような一体感があり、つるりとした愛らしさを感じられます。

undefined

裏蓋刻印は、いつでも好きな時に追加でき、手書きの文字をそのまま刻印して持ち主の想いを残せるようにしたいと思っています。

undefined

身近に置いておきたくなるような優しい印象の時計です。“磨きなおすことでいつまでも美しく輝き、誰かに引き継がれ、ふと手にしたときに、身に着ける人を柔らかく包みこむ“そんな情景を思い描きながらデザインしました。共に歴史を刻んで、いとおしさがさらに深まっていく「感情のデザイン」の提案です。

CREDIT

RELATED

https://ms.citizen.jp/assets/1

機械の緊張感・精度感

PROMASTER E210 RACING CONCEPTは、2023年に社内で行われた、「101選目の腕時計をデザインする。」という課題のデザインコンペから生まれたモデルです。RACINGという名が示すとおり、レーシングカーやバイク等の機械が持つ独特の密度や精度、緊張感といった要素を腕時計に落とし込むことをデザインのコンセプトとしています。車やレースをモチーフとした時計は数多く存在しますが、メーカーによって「車的、レース的」な要素の解釈には様々な形が存在します。今回は、シチズンらしいレーシング要素の解釈とはどのような形になるかということに念頭を置いてデザインしました。

https://ms.citizen.jp/assets/re-8_01

懐かしい未来

このモデルを構想するにあたって、まずは方向性を決めずに様々なことを考えてみる、ということからはじめたいと思いました。世の中について、時間について、シチズンについて、自分自身の興味についてなどです。以下に少しずつその考えをまとめてみます。

https://ms.citizen.jp/assets/cq_custom_01

強さと愛嬌

グローバル化と情報化社会の成熟によって、現代は多数の人と情報が行き交う複雑な時代を迎えました。そして、パンデミックや紛争など、先の見えない不確実性はさらに高まりつつあります。そのような状況の中で、結局のところ私たちにできるのは、ただひたすらに今を生き抜くこと、そのための「強さ」を自ら持ちつづけることではないかと考えました。そして、そのことをサポートするある意味サバイバルツールのようなものを時計でデザインしてみる、というのがこのモデルで試してみたかったことになります。

https://ms.citizen.jp/assets/1

シンカした腕時計

RECORD LABEL 1984 chronographは、1984年に発売されたシチズン初の3モータ採用の多機能アナログクオーツ時計「スポルテ」シリーズを現代的にリファインしたモデルです。80年代の腕時計が纏う独特の雰囲気を保ちつつ、光発電時計とすることで、実用性・環境配慮的な面でもアップデートしました。