いとおしさ

Design Competition 2023 | Hand to hand

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2024.11.04

腕時計は自分らしさを反映でき、使う人の雰囲気を伝えるものだと考えています。職業柄なのか、人に会うと、着けていた腕時計が記憶に残ります。それが表情の一部のように感じられますし、良く馴染んでいると、時計が大事にされているようでとても嬉しく感じます。
数ある腕時計の中から縁あって選ばれるものなのですから、あたりまえのことですが、私は腕時計を長く大切に使ってほしいと思います。そこで、いとおしさや優しさを感じるようなデザインで、修復してでも大切に使っていきたいという想いが湧くような、“磨きなおし”ができる時計を考えてみました。

2 コロンとした形

磨きなおしを手軽にできるようにするため、「素材は無垢(メッキのないもの)」「分解しやすい構造で、研磨しやすい形」という点を踏まえてデザインを検討していきました。早い段階で、ステンレスの無垢材で磨きが入りやすく足が外れる形状に方向がきまりました。足を取りはずせばまんまるな形状になり、バフ磨きを完璧に行えます。素朴な温もりのあるコロンとした形になりました。

3 さきかん

ケースとバンドがつながる先カン部分には工芸品のような印象を持たせています。シチズンの最初のレディスウオッチであるK型(図右)のパリスカンのような形状を意識しました。先カンパーツの柔らかいR形状により、繊細な印象となっています。

4 Dial

文字板は、丁寧さを感じるように。そして、力みのない間を意識しました。白蝶貝にはエッチングで華美になりすぎない装飾を施しています。4所インデックスは柔らかく磨きあげたつぼみのようなフォルムです。8所の丸点植字も裏側までまわりこむR形状によりぷっくりと雫のような立体感を出しています。

5 りゅうず

リューズは、モダンなオニキスの質感とクラシカルな爪留めで、装飾的でエレガントなものにしたいと思いました。幸福感を感じられるようなゆったりした形です。

6 うらまわり 1

裏蓋は、腕に気持ち良く触れる形です。ガラスから裏蓋まで撫でてみたくなるような一体感があり、つるりとした愛らしさを感じられます。

7 Caseback

裏蓋刻印は、いつでも好きな時に追加でき、手書きの文字をそのまま刻印して持ち主の想いを残せるようにしたいと思っています。

8 正面

身近に置いておきたくなるような優しい印象の時計です。“磨きなおすことでいつまでも美しく輝き、誰かに引き継がれ、ふと手にしたときに、身に着ける人を柔らかく包みこむ“そんな情景を思い描きながらデザインしました。共に歴史を刻んで、いとおしさがさらに深まっていく「感情のデザイン」の提案です。

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