子どもから大人まで長く使える時計
子どもの時に使っていたものが、大人になっても使いたいと思えるものだといいなと思います。毎日の生活にそっと馴染み、使うほどに愛着が沸き、身に着けると気持ちが凛とする、子どもから大人まで幅広い世代に向けた時計をつくりたいという想いから、このモデルのデザインが始まりました。
機械の緊張感・精度感
PROMASTER E210 RACING CONCEPTは、2023年に社内で行われた、「101選目の腕時計をデザインする。」という課題のデザインコンペから生まれたモデルです。RACINGという名が示すとおり、レーシングカーやバイク等の機械が持つ独特の密度や精度、緊張感といった要素を腕時計に落とし込むことをデザインのコンセプトとしています。車やレースをモチーフとした時計は数多く存在しますが、メーカーによって「車的、レース的」な要素の解釈には様々な形が存在します。今回は、シチズンらしいレーシング要素の解釈とはどのような形になるかということに念頭を置いてデザインしました。
強さと愛嬌
グローバル化と情報化社会の成熟によって、現代は多数の人と情報が行き交う複雑な時代を迎えました。そして、パンデミックや紛争など、先の見えない不確実性はさらに高まりつつあります。そのような状況の中で、結局のところ私たちにできるのは、ただひたすらに今を生き抜くこと、そのための「強さ」を自ら持ちつづけることではないかと考えました。そして、そのことをサポートするある意味サバイバルツールのようなものを時計でデザインしてみる、というのがこのモデルで試してみたかったことになります。
懐かしい未来
このモデルを構想するにあたって、まずは方向性を決めずに様々なことを考えてみる、ということからはじめたいと思いました。世の中について、時間について、シチズンについて、自分自身の興味についてなどです。以下に少しずつその考えをまとめてみます。
達成感をカウントする
自然のリズムに寄り添い、時間帯を見極めることが重要な釣り。その中でも魚のサイズではなく、いかに多くの魚を釣るかという「数釣り」に魅了される釣り人たちがいます。そうした人たちに焦点を当て、日時と釣果を可視化できるカウンター機能付き機械式腕時計を制作しました。6時位置の窓に4桁の目盛が表示されており、レバーをクリックすることでカウントすることができます。
既成概念の打破
ここ何年にもわたって言われ続けていることですが、携帯電話の普及により腕時計離れが進んでいます。また、多くの人が片腕にしか着けないと考えると、腕時計とスマートウオッチが1つの場所を奪い合っているのが実情です。 そのような状況の中、「腕時計を身に着けてもらうにはどうしたら良いか」を出発点に考えを巡らせました。「腕時計は腕に巻く」という当たり前だと考えていたことをリセットして、既成概念にとらわれないアプローチから何か新しい可能性を生み出せるのではないかと考えました。
いとおしさ
腕時計は自分らしさを反映でき、使う人の雰囲気を伝えるものだと考えています。職業柄なのか、人に会うと、着けていた腕時計が記憶に残ります。それが表情の一部のように感じられますし、良く馴染んでいると、時計が大事にされているようでとても嬉しく感じます。 数ある腕時計の中から縁あって選ばれるものなのですから、あたりまえのことですが、私は腕時計を長く大切に使ってほしいと思います。そこで、いとおしさや優しさを感じるようなデザインで、修復してでも大切に使っていきたいという想いが湧くような、“磨きなおし”ができる時計を考えてみました。
精度の視覚化
新開発の機械式ムーブメントCal.0200は、傘下のManufacture La Joux-Perret S.A.(スイス ラ・ショー=ド=フォン、ラ・ジュー・ペレ社)の技術やノウハウを活かして高い審美性を実現した次世代ムーブメントです。日本とスイス、両国の時計製造文化を融合し誕生しました。センター2針スモールセコンドというクラシカルな機構は「時計の原点に則した美しい輪列を表現したい」という開発者の強い思いによるものです。設計・組立はシチズンで行い、外観の装飾はラ・ジュー・ペレ社が保有する高度で幅広い装飾技術を最大限活用するというかたちで、このムーブメントの開発はスタートしました。
ダイナミックな形状と緻密な仕上げ
シリーズエイトは、ブランド名になぞらえて8から始まる3桁の数字がモデル名になっています。2桁目がポートフォリオを表しており、数字が小さいとモダンで、数字が大きくなるにつれてスポーティになっていきます。870、880に続く、シリーズエイトのコレクションの中で最もスポーティなモデルとなる「890」の開発が今回のテーマでした。
多くの機能をシンプルに
プロマスター アクアランドは水深計搭載のダイバーズウオッチシリーズです。「アクアランドの“継承”と“進化”を感じさせるダイバーズウオッチを作る」という企画のもと、いま一度プロマスターの基本コンセプトに立ち返り、多くの機能をシンプルに表現した本格ダイバーズウオッチの開発を行いました。ミニマルなデザイナーズウオッチや、インパクト重視のデザインなどが混在する幅広い市場において、過酷な環境下にも耐えることができるよう機能性/耐久性/安全性を徹底的に追求した、新しいスタンダードとも言えるモデルです。高い機能性とデザイン性が評価され、2018年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
シンプルかつ個性的
プロマスターは陸、海、空のプロフェッショナルのためのブランドです。特に海のプロフェショナルに向けた時計であるダイバーズウオッチは高い防水性に加え、逆回転防止ベゼルや暗所での視認性、耐衝撃性などの厳しい基準が「ISO 6425」によって定められています。 今回紹介する商品は、前年に発売し好評を博した「プロマスター アクアランド 200m」 のファミリーモデル企画から誕生しました。ケースラインや回転ベゼルのデザインを継承しつつ、新たな付加価値としてGMT機能やチタニウム素材を採用した、ISO規格対応の200m防水ダイバーズウオッチです。プロマスターの命題である機能性/耐久性/安全性はもちろんのこと、ダイバーズウオッチにおいて最も必要な視認性/操作性も考慮した開発を行い、2019年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
時を感じる
シチズン エル は2016年より “サスティナブル“をテーマにした製品づくりを開始しました。“エシカル“なアプローチとジュエリーデザインを結び付けた新感覚ラグジュアリーウオッチとして、コンセプトを象徴するモデルを提案する企画が立ち上がりました。
飾るのではなく、削ぎ落とす。
シリーズエイトは、もともとは2008 年にデビューしたコレクションです。当時としては斬新な8 体構造のケースが特徴で、都会的でモダンなコンセプトを基調としていました。2014 年にひとまず幕を閉じ、それから8 年目を迎えた2021 年に再始動したのが、新生Series 8 です。シンプルかつモダンに。飾るのではなく削ぎ落とす。「引き算の美意識」と呼ばれるデザインコンセプトを継承しつつ、いま求められるスペックとたたずまいを兼ね備えた機械式のブランドとして、リスタートをしています。
自然を感じる
私が2016年の立ち上げから関わっているシチズン エルでは、サスティナブルな観点で、いろいろな取り組みを行ってきました。最近はリモートワークが増え、人々がよりリラックスした生活を求める中で、新しい女性の生活スタイルに合うものを作る必要性を感じていました。そして、次の新しいモノづくりを考えていたときに、バイオミミクリーという言葉に出会いました。