外装の仕様はデュラテクトと呼ばれる表面処理を施したチタニウム外装、無反射コーティング付きの球面サファイアガラス、20気圧防水、ダブルロック機構のバンドの中留、ワンアクションでバンドの長さを微調整できるフィットアジャスターなどLANDカテゴリーの上位モデルに相応しいスペックとなっています。ムーブメントもクロノグラフ、ローカルタイム、アラーム、パーペチュアルカレンダーなど多くの機能を有しています。
当時シチズン独自の機構として採用が始まっていた「フィットアジャスター」を搭載
手首の太さは日々の体調によっても変わるため、日常使いのなかで便利さが実感できる機能
DNAを受け継ぐ
プロセスを振り返ってみると、このモデルのデザインのテーマは「DNAの継承」だっだと言えます。例えば、ケースとバンドに関して、新開発のムーブメントということを意識した目新しいスタイリングも選択肢の一つとして検討していました。ただ、最終的には、これまでのLANDモデルで受け継がれてきたDNAを継承するという意思のもと、同カテゴリーですでに世に出ていたモデルのスタイリングをベースとして方向性を定めていきました。
検討したバリエーションの一例:ベゼルにタキメーターを入れるアイデア
視認性にこだわる
文字板についても、様々なバリエーションを検討しました。インデックスをすべてアラビア数字にする、あるいは、一部をバータイプなどの別の形状にして組み合わせるなどです。それらのバリエーションを作成していく上で最も重視していたのは「優れた視認性」です。
プロマスターのLANDモデルは視認性の良さを重視しており、それが文字板デザインの肝とも言えるアイデンティティとなっています。視認性を考える上で重要になるポイントは、着用者が時計を見るとき「文字板上の十字の位置にある12時、3時、6時、9時のインデックスを起点として時間を判断する」という視線の流れになります。
検討したバリエーションの一例:12時、3時、6時、9時位置のアラビア数字を強調したデザイン
例えば、上図の二つのスケッチは12時、3時、6時、9時位置のインデックスを大きなアラビア数字とすることで十字の配置をより強調しています。左図のスケッチはアラビア数字以外のインデックス形状を個性的な形状にしたものです。この文字板について、十字位置のアラビア数字がより強調されて「見やすい」という意見もある一方、「ある意味クセが強く万人受けはしにくいのでは」という意見もありました。そのような議論を開発チームと重ねた末、最終的には文字板についてもケースやバンドと同様に、LANDカテゴリーのDNAをより色濃く反映した上右図のスケッチをベースとするデザインを採用しました。
左端のモデルが最終バージョンのデザイン
これまでのLANDモデルにはなかった新しい要素として、立体夜光のインデックスを採用
DNAを継承し、現代につなげる
このモデルのデザインは、素材をチタニウムからステンレススチールに変更した仕様のモデルが今でも海外市場で販売されるほど息の長いものとなっています。プロマスターのこれまでに培ってきたDNAを継承することでデザインの強度を補強し、その結果としてブランドのDNAを現代にもつなげることを可能にしたデザインだと言えます。
このモデルの裏蓋刻印は実はレア
PROMASTERロゴが、グローブマーク外周の円弧の中に入っているという珍しいタイプ