新しい価値の探求

Concept Models

https://ms.citizen.jp/assets/RING_02_25-14

2024.09.17

シチズンの基幹技術である光発電エコ・ドライブの価値を訴求するため、2009年から2012年にかけて合わせて8つのコンセプトモデルを発表しました。モデルは社内コンペティションによって選ばれました。ルールは「光で動く」ことだけ。それ以外には何も制約を設けず、デザイナーがまっさらなところから自由な発想で新しい商品を提案しました。

スイスで開催されていた世界最大の時計の見本市「BASELWORLD」にて大々的に発表が行われ、大きな反響を呼びました。また、コンセプトモデルを発表して終わりではなく、できる限りそのままのデザインで量産化することにも挑戦しています。発表したモデルのうち4モデルが数量限定で量産することとなり、その技術やデザインコードは後のモデルにも大きな影響を与えました。

 

Eco-Drive DOME

Introduced in 2009 / Released in 2011Dome 01  19 12Dome 02  19 12光はどこにでも誰にでも平等に降り注ぐクリーンエネルギーだというEco-Driveの考え方を体現したモデル。文字板から光を吸収し、それをエネルギーとしてムーブメントに伝える、その「吸収」と「エネルギーへの変換」をドーム形状の文字板で表現しています。5層に塗り重ねられたパールホワイト塗装は近未来を感じさせます。

 

Eco-Drive RING

Introduced in 2009 / Released in 2012Ring 01  19 12Ring 04  19 12光で発電するエコ・ドライブのしくみをデザインに取り入れ、それ自体を美しい造形として表現することをコンセプトとしたモデル。光を文字板からではなく、ケースの側面から取り込み発電するというアイデアで従来の常識を覆しました。光発電機能とデザインの融合によって生まれた、新しい発想の腕時計です。

 

Eco-Drive VITRO

Introduced in 200919 3 Vitro 03 19 1219 2 Vitro 02  19 12風防ガラスに極細のアモルファス・シリコン線を配置した、肉眼では透明に見えるソーラーセルで発電する腕時計。裏面に配置した湾曲したインジケータ針や、チューブ状のケース内側面に沿うアラビア数字のインデックスなど、腕時計を構成する要素の既成概念に囚われない、腕時計の常識を覆すモデルとして開発されました。

 

Eco-Drive EYES

Introduced in 2010 / Released in 2013
20 3 Eyes Web02 19 1220 4 Eyes Web03 19 12コンセプトは 「光と影」。日本ならではの「光」と「影」に対する美意識をデザインとして表現した腕時計です。ストーンヘンジ遺跡、あるいは近未来都市の摩天楼のような、極限まで高くした13本のセラミックス製インデックスによって文字板上に生まれる陰影が、普段あまり意識することのない光の存在を強く感じさせてくれます。

Eco-Drive LOOP

Introduced in 201021 1 Eco Drive Loop  19 1221 3 Loop Web02 19 12「光と時が永遠に循環(ループ)する」をテーマに開発したレディスウオッチ。文字板の周りをダイヤモンドが囲み、その回りの空間をループ形状の秒針が巡る構造となっています。帯状のソーラーセルを時計の側面に取り着けているため、自由な文字板表現が可能。土星の環を思わせる浮遊感のあるデザインです。

 

SATTELLITE WAVE H990

Introduced in 2011 / Released in 2011Image02+  19 12Image04+ 19 12人工衛星から時刻情報を受信する世界初のアナログ式光発電衛星電波時計。文字板外周のスパイラルパーツは、宇宙から降り注ぐ時刻信号の波長をイメージしているとともに、世界初の多局受信を可能にした初代電波時計のオマージュでもあります。ラグから浮いたように見えるセラミック製の丸いケースは地球をイメージしています。

 

Eco-Drive LUNA(2012)

Introduced in 2012Eco Drive Luna Bk Img 01  19 12Eco Drive Luna Bk Img 02 19 12デザインテーマは「The elegance of silence -秘すれば花-」。世阿弥が記した「風姿花伝」で語られる言葉です。60粒ものダイヤを身に着けながら、毎秒見えるのはたった1粒のダイヤのみ。あえて多くを見せないことで、秘められた美しさを際立たせます。光を取り込むだけでなく、宝石越しの光で時の移ろいを表現するちょっとミステリアスな時計です。

 

Eco-Drive NOVA

Introduced in 2012Eco Drive Nova Wh Img 01  19 12Eco Drive Nova Bk Img 02 19 12光で動き、光で時を知らせる、光の時計。テレビ石の原理を光ファイバーを敷き詰めることで再現した、複眼のような文字板が特徴です。光の粒子がきらめき、流れながらやがて収束し、最終的に光の時分針を形成。光を取り込み、自らも光を放つ「光の呼吸」を感じられるデザインです。

 

WATCH

CREDIT

RELATED

https://ms.citizen.jp/assets/061_07-06_Eco-Drive DOME_01

多機能ムーブの抽象表現

 「光のクリーンエネルギーを身に着ける」をテーマとし、その具現化にチャレンジしたモデル。「クリーン」という抽象的テーマを表現するためにベゼル等、形状を複雑化する要素を削除。同一面の中で「形状を分割」させ、一体感のある塊の中に機能部品を同化させています。  また、クロノグラフという多機能ムーブメントを使用するにあたり、文字板の印刷表示をできる限り削除しています。その代わり、透明な成型部品の反射による形状認識を利用し、さらに蒸着処理された透明部品を層にすることにより、映りこむ形や影を作り、仕上げとばかりに浮かせた部品に印刷をのせ、光輝く空間の中に印刷を漂わせることで、テーマである「光のエネルギー」を表現しています。

https://ms.citizen.jp/assets/023_03-05_Eco-Drive RING_01

光を吸い放つ、近未来の象徴

この時計は、モダン建築をモチーフに「技術と美の融合」の象徴として生み出されました。その衝撃的なデザインと今までにない採光システムの融合は、近未来というものを時計で表したアートのようでもあります。 ケースサイドのサファイアガラスと中心ケースのメタルの柱の構築性は、正しくモダン建築的。ムーブメントを守る機能性ときらめくガラスの目に見える美しさを両立しています。 単純な三針ではなく、新しい表現のムーンフェイズにも取り組んでいます。これは、この時計が表現している光と影の関係の象徴でもあります。時字もサイドビューにこだわった遊びのあるデザインに仕上がり、総じて非の打ち所がないデザインを生み出しています。 前にあったものを横に置く。言葉で表すと簡単に聞こえますが、ソーラーセルを側面におくのは、かつて誰も試みたことのない難題でした。技術者の尽力により、斬新な形状に革新的な技術が並び立ちました。 この製品は、「光を吸う怪物」というキャッチコピーで世に送り出されました。未来を切り開いたこのデザインは、光を吸い、輝かしく放つ、努力の結晶となりました。各々のパーツへのこだわり、全体のバランス、それらが見事に一つの象徴として、形にあらわれています。

https://ms.citizen.jp/assets/062_07-07_Eco-Drive EYES_01

儚さの連続

 本モデルは儚い要素の集合で構成されたモデルだと感じました。ドーム状に大きく膨らんだサファイアガラス、それに沿って緩やかに曲がった針、グレイッシュな印刷物、美しい平滑面を出し輝きながらも、実は脆さと隣り合わせのセラミック素材など、プロダクトとしての美しさを持ちながらも、どこか弱さや儚さを感じさせる時計です。宙に浮いたメガネパーツはこちらを見つめているようで、生物的な印象を受けます。  視覚だけではなく、触覚のデザインもそのコンセプトを強めています。シリコンバンド(リキッドラバーバンド)は柔らかく、とても心地良い触り心地です。華美な装飾のない、シンプルな面のこのバンドは、クリーンな印象で文字板とマッチしています。  立体的な文字板が演出する“光と影”がこのモデルの一つのキーワードですが、その光と影もその時々で変化し続ける儚いものです。その時しか見ることのできない一瞬一瞬の儚さ、その連続がこのモデルそのものだとも言えます。

https://ms.citizen.jp/assets/067_08-05_SATELLITE WAVE_01

演出力

 大型ムーブメント使用時の制約を逆手に取り、大きな容積を生かした奥行きのあるダイナミックな造形によって機能を裏付けすることで、「ただならぬ存在感」を演出したモデル。  「黒」と「緑」のコントラストで構成されたデザインは美しさと時計の機能を合わせ持ちます。  ケースは受信感度に影響を与えないようセラミック材を使用し、めっきでは得られない平滑度の高い光沢感のある仕上げ処理が施されています。  文字板外周をぐるりと囲む鮮やかな緑のコイルは初代電波時計のアンテナを意識したものです。ベゼルをサファイアガラス面に配置し、あたかも浮遊しているかのような表現は衛星が周回する軌道をイメージさせ、側面からも文字板緑のコイルのモチーフの形状が確認でき、あらゆる角度から見て楽しめるようデザインされています。  時針を立体的に折り曲げ、ディスク式の針に刻まれた文字が回転する様、小さな空間に精密に組み込まれたパーツが作動し、それが正常に機能する様は都市のジオラマを腕に巻くかのようなワクワク感、ユーザーを童心に帰らせる楽しさを提供します。  時計に興味を持つ、持たないに関わらず、思わず立ち止まって見入ってしまう。そんな演出がこの時計には込められています。